?蛇婿入り?型説話は世界各地に分布されている。本論では、中國(guó)における『蛇婿入り』型説話の分類と內(nèi)容を簡(jiǎn)単に紹介し、「蛇婿入り」型説話を通じて中國(guó)の人々にとっての「蛇」のイメージを検討し、また、蛇信仰の変化の歴史的背景を探ってみたい。
一、「蛇婿入り」型説話の分類と內(nèi)容
「蛇婿入り」型説話は中國(guó)各地で普遍的に知られている説話で、劉守華によると、この
型の説話は全國(guó)22省の24民族の間で語(yǔ)られており、もうすでに採(cǎi)集したものも127篇に
達(dá)しているという。中國(guó)の「蛇婿入り」型説話は、丁乃通、劉守華によって主に「蛇氏族
始祖伝説型」、「蛇妖怪型」、「姉妹爭(zhēng)い型」に分類されている。次は「蛇婿入り」型説話の
各種の伝説の內(nèi)容について紹介する。
1、「蛇氏族始祖伝説型」のモチーフ
この類型の説話は、蛇氏族の先祖についての伝説であり、中國(guó)のヌー族とベー族の間で広く伝えられているという。これは中國(guó)の「蛇婿入り」型説話の原型ともいえる?!干呤献迨甲鎭徽h型」は大體大蛇が女に子を宿らせ、その子が偉い人になり、その息子達(dá)が蛇氏族の始祖であるというモチーフになっている。
2、「蛇妖怪型」のモチーフ
『太平広記』456巻の中に蛇に関する説話が100以上もあり、蛇が男と変身して女と私通
するという例が5つあるという?!柑咳恕?、「楚王英女」、「朱覯」、「薛重」、「王真妻」などがその例である。その內(nèi)容の趣は「一人の美男子がある百姓の家に潛入し、娘或いは嫁と私通。真相を知った夫は美男子を殺す。美男子は蛇の模様に変わったので、元々蛇化け物であったことが分かる?!工趣いπ韦颏趣盲皮い?。
3、「姉妹爭(zhēng)い型」のモチーフ
この型の説話は現(xiàn)在中國(guó)の各少數(shù)民族の間で広く伝えられており、中國(guó)の「蛇婿入り」説話の典型的なものである?!笂椕脿?zhēng)い型」の説話の趣は大體父のために蛇のお嫁さんになった妹が幸せに生活するのを嫉妬した姉が妹を殺し、妹の代わりに蛇婿と暮らす。死んだ妹の魂が鳥(niǎo)、木になって姉を弄ぶ。姉は最後に死んでしまい、妹と蛇婿は再び幸せに暮らすとなっている。
二、中國(guó)の「蛇婿入り」説話の中の「蛇」イメージとその歴史的背景
中國(guó)の「蛇婿入り」説話は、時(shí)間的にみれば、「蛇氏族伝説型」、「蛇妖怪型」、「姉妹爭(zhēng)い型」の順序である。ここでは、この三つの類型を一つ一つ見(jiàn)ていきながら、中國(guó)人の「蛇」に対する信仰の変化を探求し、中國(guó)の蛇婿の境遇、またその歴史的背景について述べてみたきい。
1、「蛇氏族始祖伝説」における「蛇」のイメージとその背景
「蛇氏族始祖伝説」は中國(guó)のヌー族とベー族の間で広く伝えられていた説話である。ヌー族とベー族は中國(guó)南方に住んでいた民族で、「蛇」を始祖として信仰していたということはヌー族とベー族の蛇トーテムを反映している。今から三千年前、中華民族の文明の中心は黃河流域にあって、そこは森に覆われ、毒蛇と獣が出沒(méi)し、洪水が氾濫していた。その時(shí)代、人々は神というものは體のある部分が人間に似ていて、ある部分は動(dòng)物に似ているだろうと推測(cè)したと言う。中國(guó)人祖先といわれる「伏羲」「 女?huà)z」も人間の頭で蛇の體をしている。人々は蛇をトーテムとして崇拝し、蛇皮を肩にかけることで神に対する尊敬を表した。また、蛇が崇拝されたのは、繁殖力の強(qiáng)い蛇の特徴とも関係があると思われる。蛇と人間の娘の間に生まれた子がある部族の始祖であるということは中國(guó)人の蛇に対するトーテムミズムを反映している。また、ヌー族とベー族のような部族の人々の子孫を代々に増やし、自分らの部族を繁盛させようという願(yuàn)いがこめていると思われる。
このように、「蛇氏族始祖伝説」の中の蛇は神聖なもので、神である。常に変化している自然との戦いの中でそのときまで自然を支配することができなかった人間は望みを人間世界を越えた神に托し、蛇はその神であったのである。
2、「蛇妖怪型」における「蛇」のイメージとその背景
古來(lái)、中國(guó)人は蛇を神聖なものとして崇拝してきたのである。だが、「蛇妖怪型」の中の蛇は他人の妻と私通したり娘に妖術(shù)をかけたりする化け物として登場(chǎng)する。では、蛇がどうして人々の崇拝する神から妖怪へ変身したのか。
原始トーテム社會(huì)では種族の繁栄のために美しい娘をトーテム神に奉げた。本來(lái)、トーテム神は人間ではない動(dòng)物或いは他の自然物だったが、実際娘と結(jié)合するのはトーテム神のかわりに祈禱師或いは部族の首脳であったのである。つまり、祈禱師或いは部族の首脳らは百姓の蛇信仰を利用して悪いことをしはじめ、人々は神に仕える祈禱師或いは部族の首脳を憎むようになったのである。その反映として「蛇婿入り」説話中の蛇が神から化け物と変わったのである。
中國(guó)の古代文獻(xiàn)『霊鬼志』の「蠱」の中に出ている大蛇が人間とともに悪いことをするということや『捜神後記』の「斫雷公」の中の蛇が噓好きで、最後には雷神の罰にあたるということは、「蛇」というものがこの段階ではイメージ的に大逆點(diǎn)し、蛇トーテムが弱まったことを表している。
「蛇」が人々の崇拝してきたトーテム神から妖怪への変身は、人々の蛇トーテムを利用して悪いことをする官府や祈禱師らに対する憎みから生じたものである。たが、人々の蛇信仰が薄ってきたとはいえ、蛇自身に対するイメージはそんなには変わっていないと思われる?!禾綆谟洝护我葬幛喂诺湮墨I(xiàn)である『聊齋志異』などをみていると蛇が妖怪として登場(chǎng)するものはほとんどない。中國(guó)人の観念の中で妖怪といえば、やはり「狐」や「虎」のようなものであろうと思われる?,F(xiàn)在、『蛇婿入り』説話として、一番よく語(yǔ)られている「姉妹爭(zhēng)い型」から見(jiàn)ても中に出ている蛇は悪者ではない。
3、「姉妹爭(zhēng)い型」における「蛇」のイメージとその背景
この類型の中の「蛇婿」は神でも妖怪でもない普通の人間の姿をとっている?!笂椕脿?zhēng)い型」説話の中で、末娘が殺され、彼女の姉が花嫁の役をするが、蛇婿はぜんぜん気づかない。また、末娘の魂が鳥(niǎo)、木などになって復(fù)讐するのにそれにも気づかない。このことから「姉妹爭(zhēng)い型」における「蛇」は神でも妖怪でもないことがわかる?!笂椕脿?zhēng)い型」における「蛇婿」は、蛇から変身したものとはいえ、勤勉な誠(chéng)実な農(nóng)民の姿である。この変化は、蛇トーテムが「蛇氏族始祖伝説」よりは薄って來(lái)たが、まだある程度のトーテムミズムを表している。
三、終わりにと今後の課題
「蛇婿入り型」説話中の蛇は、蛇から妖怪へ、妖怪から人間の姿という変化を通している。この変化は、「蛇婿入り型」説話中の蛇婿の位置付けにも大きな影響を與え、蛇婿の境遇は蛇信仰の変化を充分に表している。日本にも『蛇婿入り』型説話がある。日本における「蛇」のイメージや運(yùn)命は中國(guó)と違うと思われがこれは今後の課題にする。
參考文獻(xiàn):
[1]「日本上代文獻(xiàn)における蛇婿入説話のモチーフと特徴」鄭家瑜 《臺(tái)大日本語(yǔ)文件研究》2016年
[2]《中朝韓日民間故事比較研究》金東勛 許輝勛 遼寧人民出版社 2001年7月
[3]《比較故事學(xué)》劉守華 上海文藝出版社 1995年9月第一版
[4]《中國(guó)民間故事大觀》愛(ài)情婚姻卷 蔚家麟 長(zhǎng)江文藝出版社 1994年8月第一版